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プロダクトに依存する不確定かつダイナミックに変化するプロセスを表現する必要あり。
もちろん、自動車等の大量生産品の場合、一品生産品(船や建築等)と較べて、その製品自体の生産形態は相当異なるが、量産品の場合でも、個々の製品の製造だけでなくその量産品を作り出す開発プロセスにまで注目すると、金型製造や物流管理等に関わる設備設計面で一品生産である他の組立産業との共通点が見いだされる。
すなわち、組立産業での製造過程は、顧客の要求に合った製品を提供するための「基本計画」、機能・詳細・製造に関わる一連の「設計」、製品の素材や部品(例えば、鋼板、プラスティック、ポンプ、エンジン)の「予量・選定・調達」、鋼板等の素材の加工・塗装やコンクリート打設等による「構造工作」、その構造体に機器・部品を取付け製品に機能を与える「艤装工作」、更に全体調整や「検査・試運転」に至る複雑多岐な工程から成り立っている。
このような各種の工程は、個々の産業ないしは企業において、部分的にはその機能が分析されシステム化も進みつつあるが、全体として統合化された形でCIM化するためには非常に大規模かつ先端的な内容を含む情報システムの構築が要求され、個々の企業で独自にその全てを開発することには、費用対効果の面から多大の困難が伴う。
しかし一方これらの各工程は、各産業によってその具体的内容は異なるが、システム化という抽象レベルでは共通項も多い。それゆえ、各企業間さらには各産業間での共通部分についての共同開発が実現すれば、時間と労力の節約になるだけでなく、技術面でも最高レベルの希少なシステム技術者を集中的に動員できる効果も得られるであろう。GPME開発計画はそのような考えの元に策定され実施された。
以上のような特徴を持つ産業において、製造業務(設計と生産を含む)をシステム化することは元来極めて難しい。その原因は、膨大な部品数、複雑な部品形状と機能・挙動による製品の複雑さ、及び一品ごとの製品仕様の変更への対応、そしてその多くを人手に頼る生産プロセスの不確定性と複雑さにある。さらに、一品ないしはごく少数の生産であるから、情報の再利用が少なく、各過程でのCIM情報は手入力では費用対効果が低くその生成を極力自動化する必要があり、上流から下流までの統合されたCIMのニーズが大変高いのも本組立産業の大きな特徴である。

 

 

 

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